アーツ×アーツ

本好きでマンガ好きのジョン・スミスが書く、名著礼賛ブログです。

カテゴリ: コミックス


むかしむかしあるところに
なまえのないかいぶつがいました
―浦沢直樹『MONSTER』




読了目安:約6時間



どうも!


浦沢直樹氏と言えば、ヒットメーカーの漫画家として超有名です。
柔道マンガの『YAWARA!』(女子柔道家のあだ名である「やわらちゃん」の元ネタ!)や、三部作の邦画が大ヒットした『二十世紀少年』(女優・平愛梨さんの出世作!)の原作者として知られております。

今回紹介するのは、そんな浦沢直樹氏の名作『MONSTER』です。
全十八巻の漫画作品です。


結論から申し上げます。
この作品、めっっっっっちゃおもしろい!。


概要・あらすじはこちら!

『MONSTER』概要・あらすじ
 ドイツ、チェコを舞台とした本格ミステリー漫画。冤罪、猟奇殺人、医療倫理、病院内での権力闘争、家族の在り方(親子愛、兄弟愛)、人間愛、児童虐待、アダルトチルドレン、トラウマ、東西冷戦構造、ベルリンの壁崩壊の以前以後のドイツ社会などをテーマとしている。

1986年、天才的な技術を持つ日本人脳外科医・Dr.テンマは、ハイネマン院長の娘エヴァと婚約し、ゆくゆくは外科部長から院長という出世コースを掴みかけていた。 そんなある日、西ドイツ(当時)・デュッセルドルフのアイスラー記念病院に、頭部を銃で撃たれた重傷の少年ヨハンが搬送されてくる。Dr.テンマは、院長の命令を無視してオペを執刀し、ヨハンの命を救う。
1995年、外科部長となり職務に励んでいたテンマの前に、美しい青年に成長したヨハンが現れる。テンマの患者ユンケルスを目の前で何の躊躇もなく射殺し、過去の殺人を告白するヨハン。殺人鬼を蘇らせてしまったと自らの責任を感じたテンマは、怪物ヨハンを射殺するために、ヨハンの双子の妹アンナに再会することを企てる。殺人犯の濡れ衣を着せられ、キレ者のルンゲ警部に目をつけられたテンマは、ドイツ国内を逃亡しながらヨハンを追跡する。
(引用:Wikipedia)


天才的な外科技術と、人に愛される優しい心根を持ったテンマは、ヨハンの犯した殺人の重要参考人としてドイツ中から追われる身となります。一巻で登場した時点では柔和で小綺麗な優男だったのが、巻を重ねるごとにどんどんワイルドになっていきます。周りに対してはとても優しくて物腰の柔らかいテンマが修羅場を幾つも乗り越えてセクシーになっていく姿はカッコいいですね。僕は男ですけど、テンマかっけー!なんて、子供みたいなことを思いながら読んでました。テンマを思わず応援したくなる作品なんですよ。



これが、

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※『MONSTER』(浦沢直樹)1巻より



こうなります。

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※『MONSTER』(浦沢直樹)14巻より



メスより銃が似合う男に変貌していますね。




幕間に描かれる、サブキャラクターのエピソードもまた印象深いです。


親を殺した傭兵と生きる笑わない少女。

息子の逮捕をきっかけに退官した元警察官。

診療所を営むもぐりの医者の女の子。

死に際のテロリスト。

甘党の心優しい元殺し屋。



こういったエピソードがたまらないんですよね。

人情的というか、心に沁みるというか。

無くてもこの作品は十分面白いんですけど、やっぱりあった方が厚みが出て面白い。




そして、この作品は前半と後半で趣が異なる作品です。


前半では、ヨハンという人殺しを追う作品であるのに対して、後半は、ヨハンがなぜそのような人格を備えるに至ったかを暴く作品となります。


ヨハンもまた、より大きな闇に人生を変えられた人間だったんです。



表題の「MONSTER」が、壮大な伏線であり、ミスリードです。

本当の「MONSTER」は誰なのか。

最後の最後で分かります。




ではまた!




宇宙にゃこんなやつばっかりか
-冨樫義博『レベルE』





どうも!


今回書く『レベルE』は、漫画界でカリスマ的人気を博し、『ハンター×ハンター』や『幽☆遊☆白書』で知られている冨樫義博氏の作品です。

人間とはちょっと違う宇宙人が、地球に降り立ちトラブルを引き起こす。
これだけじゃなんだか楽しそうな雰囲気がありますが、そんなことはありません。

冨樫義博氏の作品特有の、「ダーク」で「オカルト」で「不条理」で「カルト」で「子供っぽ」くて「ゲームっぽい」作風が最高濃度で凝縮されております。

手元にあると、何度でも読んじゃいますね。


文庫版で上・下の二冊だけですが、密度がとても高いので、おそらく読書慣れしている方でも読了には2、3時間ほど必要です。僕、それくらいかかりました。

オムニバス形式で全八編の構成となってますので、登場人物がその都度変わります。
そういう意味では短編集と言えなくもないですが、特定の登場人物と世界設定は共通なので、連作短編作品集といった認識が良さげかもしれません。


全編あらすじを載せると実際に読んだとき興が削がれること甚だしいと思いますので、一部をWikipediaより引用します。


『レベルE』あらすじ(第一編・二編)
1.バカ王子・地球襲来編
 高校進学に伴って山形で一人暮らしを始めることになった筒井雪隆は、引っ越したその日に自分より先に自分の部屋で勝手に生活している自称宇宙人の男に出会う。追い出そうとする雪隆だが、男に言いくるめられ、結局彼を同居させた上、宇宙人であることも認めざるを得なくなってしまう。落ち着く間もなく雪隆の周りに男をめぐって、人間の宇宙人研究機関員、宇宙からやって来た男を王子と呼ぶ護衛達、さらには山形周辺を縄張りとする好戦的な宇宙戦闘民族ディスクン星人まで動き出し、風雲急を告げ始める。しかし雪隆達の不安をよそに、当の本人は全く緊迫感無く悠々とショッピングを楽しんでいた。

2.食人鬼編
 林間学校の途中、同級生が同じ学校の何者かに喰われるところを偶然目撃してしまった悪ガキ4人組は、次は自分達の番ではないかと怯え、自己防衛のために犯人探しを始めた。しかしその矢先、4人の内の一人が姿を消す。いよいよ切羽詰った彼らは、知り合いの怪しい人物に助けを求め、とあるつぶれかけの精神クリニックを紹介される。

この第一編で登場する「自称宇宙人の男」は、宇宙一の頭脳を持つ某惑星の第一王子です。
しかしその天才的な頭脳を他者への嫌がらせにしか使わず、人格は頭脳に反比例して壊れてます。人望は皆無。そしてかなりの日本びいきなので、宇宙人なのに日本語がペラペラ。彼が狂言回しとなって、物語は進みます。


『レベルE』は、登場人物全員が「自我」を持って「自分の人生」を全力で生きているのが最高です。

いわゆる漫画的な「おきまり」や「都合のいい展開」などは皆無で、各登場人物が、各自の意思に従った行動を起こす結果、物語が構築されて行くんです。

その自我に忠実なのが奇人変人宇宙人たちだから、それだけでワクワクして、楽しくて、怖くて、悲しいです。


なんか、説明しようとすればするほど、なんで『レベルE』が最高なのか、書ききれてない感じがします。

このコミックの面白さを伝えきれない自分の未熟な文章表現力が憎い!


ではまた!

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