アーツ×アーツ

本好きでマンガ好きのジョン・スミスが書く、名著礼賛ブログです。




Stay hungly, Stay foolish.
渇望せよ。愚かであれ。



どうも!


スティーブ・ジョブズ。
2017年現在、若者にとっては、もう歴史の中の人物でしょうか?


特異な人間性、独特の感性、常軌を逸した行動は有名。そして何より、世界を変えた天才。
シリコンバレーの創業者達にとっては、死してなおカリスマで、ロールモデル的人物です。


ジョブズのプレゼンやスピーチは、人の心の奥底を揺らす、技術と熱意が込められたものです。


中でも最も有名なのが、これから世界を背負って立つ若者へ向けたこのスピーチ。
僕自身、何回観たかわかりません。


僕は三年間、浪人時代を過ごしました。引きこもって本ばかり読み、ネットサーフィンして、映画を見て、寝るだけの毎日。自分は間違っているのではないかと、何度も思いました。(振り返ると、正しかったことも、間違っていたことも、たくさんあります。[笑])
そんな中、このスピーチに出会い、励まされ、なんとか少しずつ這い上がってきました。


記事トップのYouTubeの映像は、英語字幕と日本語字幕の両方が載っているものを選んでいます。
なので英語がわからなくても、内容はわかります。大丈夫。


僕がそうであったように、このスピーチが誰かの心に何かを与えると信じて、紹介します。


ではまた!


表面が鈍い鉛色になると半熟卵になる。まだあと五分はかかるだろう。
-ブエノスアイレス午前零時(藤沢周)





どうも!


人生を満たす、青年と老嬢のたった一回のダンス。
きっとこのワンシーンの為に、この作品はあるのです。


1998年に芥川賞を受賞した、『ブエノスアイレス午前零時』。
ロングセラーであり、根強い人気を誇っております。
2014年にV6の森田剛さん主演で舞台化もされてます。


今まで僕は、主人公が自分の内面世界に向き合ったり、理想と現実の間で苦悩したり、どちらかというと暗めな作品が芥川賞を受賞するのだと思っていました。


しかし『ブエノスアイレス午前零時』は、何だか爽やかな読後感。
どうせ最後はモヤモヤした終わり方なんだろ!?と構えて読んでたのにいい意味で肩透かし!


うす暗い作品ばかり読んで胃もたれ気味だったので、本作が心にしみわたって仕方ないです(もちろん、暗い作品も好きですよ!)。


『ブエノスアイレス午前零時』作品概要
盲目の老嬢と孤独な青年が温泉旅館でタンゴを踊る時、ブエノスアイレスの雪が舞う。希望と抒情とパッションが交錯する希代の名作。第119回芥川賞を受賞、あらゆる世代の支持を受けたベストセラー
(引用:Amazon)


雪が降る田舎の温泉旅館が舞台だなんて、それだけで何かが起きそうな予感がします。
なんで雪ってこんなに情緒的なんですかね。


川端康成の『雪国』が思い出されますが、『ブエノスアイレス午前零時』も、静謐な雰囲気は同じく、そして詩的でした。


田舎の旅館で働く疲れた青年と、自分が美しかった時代から戻れなくなった老嬢。
二人とも、決して他人から注目されるような人間ではありません。むしろ軽んじられる側の人でしょう。
しかし二人の交流は、静かで優しく、気持ちのいいものです。


ベストセラーと聞き、そうだろうなと納得しました。
世代を超えて多くの人に愛される作品です。


ではまた!


遠馬は何を言えばいいか迷い、父と、父に殴られた琴子さんの痣を思い浮かべた。
-共喰い(田中慎弥)





どうも!


『共喰い』、有名ですね。
2012年に芥川賞を受賞しています。


芥川賞は毎回、作家のキャラクターやバックボーンにも注目が集まりますが、その中でも異質の存在感を放っていたのが田中慎弥氏です。


芥川賞選考委員を務めた石原慎太郎氏は、当時の候補作品を「馬鹿な作品ばかり」と吐き捨て、選考委員を辞任しました。そんな騒動の中で受賞を果たした田中慎弥氏は、受賞会見で「(芥川賞を)貰って当然。」「気の小さい選考委員が倒れて都政が混乱するといけないので、都知事閣下(石原慎太郎)と都民各位の為に、貰っておいてやる。」など、こちらも負けずに応酬。


このやり取りは大きく報道され、田中慎弥氏は一躍時の人となりました。


そんなわけで僕は一方的に田中慎弥氏を気難しくて攻撃的な人なのだと思い込んでいたのですが、Kindle版に収録されていた瀬戸内寂聴さんとの対談を読んで受けた印象は全くの逆。
語り口は穏やかで、謙虚で、繊細な方でした。


『共喰い』内容紹介
セックスのときに女を殴る父と右手が義手の母。自分は父とは違うと思えば思うほど、遠馬は血のしがらみに翻弄されて‐‐。
(引用:Amazon)


自己中心的で粗野、暴力性を隠そうともしない父と、その血を引く息子のカルマが、この作品の肝になるかな?と。
モラルが低くて負のエネルギーが満ちていて、嫌な感じです。


対談の中で瀬戸内寂聴さんが言及していましたが、この作品は女性が凄く魅力的です。
主に遠馬の実母、義母、恋人が登場する女性ですが、全員に女性独特のしなやかな強さがあるというか、肝が据わっていて、苦悩の中に生きる主人公に対しても慈しみを持って接してくれます。


逆に男は弱いというか、自分の弱さが原因でさらに傷ついているというか、シンパシーを感じるといえば感じる、そんな印象を全体通して受けました。


映画化もされていて、主演は菅田将暉さんです。
菅田さんはこの『共喰い』で、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞しています。

映画版はこちら!





良くも悪くも心の根っこの部分と向き合わされる作品なので、好みが分かれると思います。


ぜひ一度、ご一読を。


ではまた!

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